みなみの蚤の市

企画:古物店meme、wash+、物と事と
工事:セルフビルド
用途:蚤の市
場所:大阪府堺市

出店者としての会場デザイン

 大阪府堺市にあるレンタルスペース「スピニングミル」にて、行った自主企画の蚤の市である。
日頃から古物店memeとして、各種イベントに出店している中で知り合った仲間と、
「蚤の市が少ない南大阪エリアに、古物店が出店したくなるイベント」をコンセプトに企画した。
ふらっと行くと、何かに出会える「マルシェ」もよいが、ふらっと古物を買っていく人は少ない。
しっかりと予定を空けて出向くと、好きな物が必ず見つかる「蚤の市」であれば、売上はあがるはずと考えた。

会場である「スピニングミル」は、紡績工場跡地ということもあり、歴史的な趣きが感じられる空間である。
一方で、イベントが日常的に行われていることから、収納が困難な備品が多く、少し雑多な空間でもあった。
ただでさえ、雑多な古物を、収納困難な備品を活用しながらデザインしていくことが求められた。

そこで、会場全体に、建築模型材料である「スタイロフォーム」を散りばめた。
材料が持つ無機質な「青色」にて、歴史的な趣きがありつつも少し雑多な空間を部分的にキャンセルして、
来場者の目を引いたり、古物を際立たせる面をつくることが狙いである。
蚤の市が終われば、模型材料としてアップサイクルできるため、材料費はかからず、
加工がしやすく分解もでき、軽くて運搬もしやすいのは、運営面でもメリットがある。

メインフロア中央には、既存の備品で最も大きい、4mのテーブルを中央に展示台として配置した。
他の蚤の市にはない展示販売空間を確保して、新規性を打ち出しつつ、
全てのブースをストレスなく見て回れる、回遊動線をもたらす。
さらにスタイロフォームを「青色」の台座として配置することで、古物を際立たせる。
合わせて、この「青色」をフライヤーや展示テーマにも展開して、蚤の市全体に統一感を持たせた。
どこのエリアにいても「青色」が目に飛び込んでくる、そんな状況を生み出した。

予算を掛けて手の込んだ什器を作るのではなく、
既にあるものや自らが持ち込める材料を活用し、細やかに調整するように場をデザインした。
来場者・出店者共に好評頂き、継続して蚤の市を続けていく予定である。
設計者だけでなく、出店者としての役目も果たせたと感じている。





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