2026-08-07

既存木造住宅の耐震診断・改修講習会へ|神戸市のリノベーションから考える耐震とデザイン

既存木造住宅の耐震診断・改修講習会の会場案内

神戸市の既存木造住宅で行う耐震診断の現地調査

耐震改修とリノベーション後の神戸市の木造住宅LDK

耐力壁をタイル仕上げにした神戸市の木造住宅キッチン

藤井寺市で設計事務所をしているHTAです。

今日は一日、既存木造住宅の耐震診断・改修についての講習を受けてきました。

普段から中古住宅や既存住宅のリノベーションに携わっていますが、改修設計では新築とは違い、すでにそこにある建物をどう読み取るかがとても重要になります。

間取りやデザインだけではなく、建物がどのようにつくられているのか。どこに壁があり、どのように力を受けているのか。

今回の講習を受けながら、以前設計した神戸市の木造住宅の改修を思い出していました。

01|既存木造住宅の耐震診断・改修について学ぶ

今回参加したのは、既存木造住宅の耐震診断と耐震改修について学ぶ講習会です。

朝から夕方まで、木造住宅の耐震診断の考え方や、既存建物を調査するときのポイント、耐震改修の方法などについて改めて勉強しました。

耐震というと「壁を増やせばいい」というイメージを持たれることもありますが、実際にはそれほど単純ではありません。

建物全体のバランスを見ながら、どこにどの程度の耐力を持たせるのかを考える必要があります。

そして実際の住宅では、そこに暮らしがあります。

「ここに壁が必要だから壁をつくる」で終わってしまうと、リビングが狭くなったり、動線が悪くなったり、せっかくリノベーションするのに暮らしにくい家になってしまうこともあります。

だからこそ、耐震計画と間取りを行ったり来たりしながら考えることが大切だと思っています。

02|神戸市で経験した木造住宅の耐震改修

以前、神戸市で木造住宅の改修設計を行いました。

この住宅でも、単に内装をきれいにするだけではなく、既存建物の状態を確認しながら耐震改修を含めた計画を進めています。

リノベーションでは、最初に「こんなLDKにしたい」「キッチンをここにしたい」といった暮らしのイメージがあります。

一方で、耐震診断をすると「このあたりに耐力壁が必要」という構造側からの条件も出てきます。

この二つを別々に考えるのではなく、ひとつの設計としてまとめていく必要があります。

神戸市の住宅では、キッチンと洗面・ランドリーの間に耐力壁を設けました。

構造だけを優先すれば、もっと単純な考え方もできるかもしれません。

しかし、できるだけLDKの開放感を残したい。

水まわりの使いやすさも確保したい。

そして、必要な耐震性能も確保したい。

そこで耐震計算をしながら間取りを調整し、暮らしと構造の両方が成立する位置を探していきました。

こういう作業は、既存住宅の改修ならではのおもしろさでもあります。

03|耐震のためにつくった壁を、デザインにもつなげる

そして、ここからが設計として大切にした部分です。

耐震計画によって必要になった壁を、ただの「構造上必要な壁」として終わらせたくありませんでした。

そこで、キッチンまわりの汚れ防止として使っていたタイルを、その壁面にも展開しました。

キッチンの仕上げとして選んだ素材を少し広げることで、耐震補強のためにつくった壁が空間の中で孤立しなくなります。

むしろ、その壁があることでキッチンと洗面・ランドリーの領域が緩やかに分かれ、タイルの面が室内の特徴になっていきました。

これは、改修設計で僕が大切にしていることのひとつです。

既存建物を改修していると、どうしても制約が出てきます。

柱を抜けない。

壁を残さないといけない。

梁が思った位置にない。

天井を上げられない。

耐震上、ここに壁が必要になる。

こうした条件をすべて「仕方がないもの」として処理してしまうのではなく、その条件を利用して空間をつくれないかと考えます。

耐震補強も同じです。

構造のために必要になった壁を、間取りや素材と一緒に考える。

そうすると、耐震とデザインは必ずしも対立するものではなくなります。

04|「耐震」と「リノベーション」を一緒に考える

今回の講習を受けながら、改めて感じたのは、耐震改修だけを単独で考えないことの大切さでした。

せっかく壁や床を解体するのであれば、耐震補強と同時に断熱について考えられることもあります。

間取りを変更するのであれば、その計画と一緒に耐力壁の位置を検討することもできます。

キッチンや水まわりを更新するなら、その工事範囲と耐震補強をうまく重ねられる可能性もあります。

もちろん建物によって条件はまったく違います。

だからこそ、まず既存建物を見るところから始める必要があります。

築年数だけで「古いからダメ」と判断するのではなく、現在の状態を調べ、残せるところと手を入れるところを整理する。

そのうえで、これからどのくらい住みたいのか、どんな暮らしをしたいのか、工事にどのくらいの予算をかけるのかを一緒に考える。

そこまで含めてリノベーションだと思っています。

05|耐震改修の補助制度も活用しながら

耐震診断や耐震改修については、自治体によって補助制度が設けられている場合があります。

こうした制度をうまく利用できれば、耐震性能を高めるために必要な費用の負担を抑えながら、住宅全体の改修を検討できる可能性があります。

ただし、対象となる住宅の条件や補助額、申請方法などは自治体によって異なります。

そのため中古住宅を購入してリノベーションを考えている場合や、ご実家など築年数の経った木造住宅を改修したい場合は、設計を始める前の段階で利用できる制度がないか確認しておくことも大切です。

設計事務所としても、単に図面を描くだけではなく、こうした制度を含めて改修の可能性を整理できればと思っています。

06|古い家を、これからも住み続けられる家へ

新築には新築のおもしろさがありますが、既存住宅の改修には、また違ったおもしろさがあります。

すでにある柱や梁、建具、素材。

長い時間を経た建物だからこそ持っている雰囲気。

それらを全部なくして新しいものに置き換えるのではなく、残せるものは残しながら、今の暮らしに必要な性能を加えていく。

その中には、間取りやデザインだけでなく耐震性能も含まれます。

今回の講習で改めて学んだ内容も、これからの改修設計に活かしていきたいと思います。

谷口弘和設計室|HTAでは、藤井寺市を拠点に、南大阪エリアや近郊の奈良・京都・兵庫で住宅の新築・リノベーションのご相談をお受けしています。

「中古住宅を購入したいけれど、耐震性が気になる」

「実家をリノベーションして住み継ぎたい」

「間取りを変えたいけれど、どの壁を取れるのかわからない」

そんな段階からでも大丈夫です。

建物を見ながら、何を残し、何を補強し、これからの暮らしにどうつなげるか。

一緒に考えていければと思います。

トップへ戻る