神戸市|祖父母から受け継いだ家を、子育てと音楽制作のための住まいへ

今回は、神戸市にある祖父母から受け継いだ住宅のリノベーションについてご紹介します。

祖父母が暮らしていた住宅を、これからの家族の住まいとして引き継ぎたいというご相談から計画が始まりました。

単に古い住宅を新しくするのではなく、祖父母との記憶が残る部分を大切にしながら、

子育て、仕事、そして音楽制作という現在の暮らしに合わせて住まいを再構成する計画です。

神戸市の祖父母宅リノベーション改修前|既存住宅の室内
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神戸市の祖父母宅リノベーション改修後|既存の構成を活かした室内空間
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神戸市の祖父母宅リノベーション改修前|既存の階段まわり
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神戸市の祖父母宅リノベーション改修後|既存階段を活かした玄関ホール
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神戸市の祖父母宅リノベーション改修前|2階の既存和室
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神戸市の祖父母宅リノベーション改修後|音楽制作と家族が過ごす2階空間
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神戸市の祖父母宅リノベーション改修前|既存住宅の廊下
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神戸市の祖父母宅リノベーション改修後|既存柱を残した生活空間
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神戸市の祖父母宅リノベーション改修前|祖父母が暮らしていた住宅内部
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神戸市の祖父母宅リノベーション改修後|家族の暮らしに合わせて再構成した室内
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神戸市の祖父母宅リノベーション改修前|既存の洗面
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神戸市の祖父母宅リノベーション改修後|洗面
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1. 祖父母が暮らした家を、孫世帯の住まいへ

もともとは祖父母の住まいとして建てられた住宅です。

祖父母が他界された後も、お父様が仕事の休憩などに利用しながら、建物の管理を続けられていました。

一方、今回の建主は職場が近い同じエリアで賃貸住宅を探していました。

お子様が生まれたこともあり、これからの家族の暮らしを考えて住まいを探していたものの、希望する広さと家賃のバランスに納得できる物件がなかなか見つからなかったそうです。

そこで、空き家となっていた祖父母の住宅を改修して住むことができないかという話になり、HTAへご相談いただきました。

建主自身も以前からこの住宅の2階で音楽制作を行い、ボーカルなどの収録にも使用していました。

そのため、まったく新しい場所へ移るというよりも、家族にとって思い入れがあり、すでに自身の活動とも関係のある住宅を、次の世代の暮らしへつないでいく計画となりました。

2. 家族の生活と音楽制作をどう共存させるか

最初の打ち合わせで大きなテーマとなったのが、家族の生活と音楽制作の関係です。

当初のご要望では、1階を家族の生活スペース、2階を音楽制作と多目的に使える空間とすることを想定されていました。

家族のスペースには寝室とLDKに加えて、親戚や音楽仲間が訪れた際に過ごせる場所がほしい。

音楽制作のスペースには制作室と、そこから確認できる録音ブースが必要でした。

さらに2階南側には、家族や音楽仲間が一緒に過ごせる、バーのような寛げる場所を設けたいというご要望もありました。

一方で、上下階の使い方については最初から決め切らず、生活動線や来客時の使い方などを確認しながら検討していきました。

音楽仲間の出入りを考えれば、1階を制作スペースとする考え方もあります。

しかし、家族の生活を2階にすると、毎日の買い物を持って階段を上がる必要があります。

現在だけでなく、これから子育てが始まることも考えながら、日常生活と音楽制作のどちらか一方を優先するのではなく、両方の距離感を整理していきました。

3. 「仕事・音楽制作・家族との時間」を整える

今回の計画で、建主が特に大切にされていたのが、

「仕事・音楽制作・家族との時間を整えること」

でした。

これまでは仕事をしながら職場で音楽制作をするなど、制作時間が仕事後の家族との時間に重ならないよう工夫されていました。

しかし、これから子どもが生まれ、家族の生活が変わっていく中で、音楽制作を家族の時間から完全に切り離すのではなく、生活と並列して行える環境をつくりたいというご希望がありました。

制作に集中する場所は必要です。

一方で、制作したものを時には家族に聞いてもらったり、制作の途中で家族のいる場所へ戻ったりできる。

生活と制作を完全に分離するのではなく、その間を行き来しやすい距離感をつくることが、この住宅を考えるうえで大きなテーマになりました。

完成した住宅を「制作と生活が並列する家」と表現しているのも、この最初のご相談が設計の中心にあるためです。

4. 一番気持ちの良い場所を、家族と音楽仲間が集まる場所へ

既存住宅を確認すると、2階南側の部屋は日当たりがよく、外の景色も見える、この家の中で最も気持ちの良い場所でした。

もともとは祖父母が寝室として使っていた場所です。

この場所を個室として閉じて使うのではなく、家族や音楽仲間が集まって過ごせる場所として活用することを考えました。

既存住宅のリノベーションでは、現在の間取りだけを見て部屋の用途を決めるのではなく、実際にその場所に立って、光の入り方や景色、風の抜け方などを確認することを大切にしています。

「今まで何の部屋だったか」だけではなく、「この家の中でどこが一番気持ちいいのか」。

既存住宅がもともと持っている特徴を読み取りながら、新しい暮らしに合わせて場所の役割を考えていきました。

5. 柱や欄間、家族の記憶を残す

建主からは、すべてを新しくするのではなく、祖父母が暮らしていた住宅の印象的な部分を残したいというご要望もありました。

そのひとつが、家族の背丈の記録が残された柱です。

ほかにも既存の欄間など、この家で長い時間を過ごしてきたからこそ残っているものがあります。

設備や仕上げを新しくするだけであれば、古いものをすべて取り除いた方が設計や施工は簡単になる場合もあります。

しかし、家族にとっての住宅の価値は、新しさだけで決まるものではありません。

残すもの、新しくするもの、それぞれを整理しながら、祖父母が暮らした家の記憶と新しい家族の生活が同じ住宅の中に存在できるように計画していきました。

外観についても大きく印象を変えるのではなく、既存の姿をできるだけ残しながら、内部に入ると新しい暮らしが広がるような改修を目指しました。

6. 古い木造住宅の性能も確認する

これから家族で長く暮らす住宅となるため、間取りやデザインだけでなく、既存建物の状態や耐震性能についても確認しました。

特に古い木造住宅では、現在の暮らしに合わせて大きく間取りを変更すると、既存の柱や壁を撤去したくなる場合があります。

しかし、空間を広くすることだけを優先するのではなく、既存住宅の構造を確認しながら、必要な耐震性能とのバランスを取ることが重要です。

また、音楽制作室についても木造住宅であることを前提として、できる範囲で遮音性能を確保する方法を検討しました。

今回も、家族の生活、音楽制作、耐震性能、遮音性能、予算のすべてを同じ条件で考えるのではなく、建主と相談しながら、この住宅で何を優先するのかを整理していきました。

古い木造住宅の耐震診断や耐震補強については、こちらの記事でも詳しくまとめています。

大阪で中古住宅をリノベーションする前に|耐震診断・耐震補強について

7. 祖父母の家を「残す」だけでなく、次の暮らしへつなぐ

祖父母や両親が暮らしていた住宅が空き家になったとき、建て替えるのか、売却するのか、改修して住み継ぐのか、選択肢はいくつもあります。

今回の計画では、祖父母が暮らした住宅の記憶を残すことと、現在の家族が我慢せずに暮らせることの両方を大切にしました。

さらに、子育てだけでなく音楽制作という建主自身の活動も住宅の中に取り込み、

家族との時間と、自分の活動をどちらも大切にできる住まい

を目指しました。

思い入れがあるから、そのまま残す。

古いから、すべて新しくする。

そのどちらかではなく、今ある住宅をよく見て、何を受け継ぎ、何を変えるのかを考えることが、既存住宅を住み継ぐリノベーションでは大切だと考えています。

今回のご相談から完成した住宅については、設計実績「神戸の改修―制作と生活が並列する家―」で詳しくご紹介しています。

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