柏原市|空き家をアトリエ+地域施設へ|DIYでつくるリノベーション
柏原市にある空き家を、アトリエと地域に開かれた場所として
活用するリノベーションのご相談。
大掛かりな工事ではなく、地域の学生たちとDIYでつくりながら、
完成後も使い手とともに更新していく場を計画しました。













01|空き家を新しい活動拠点として使いたい
柏原市にある空き家を、アトリエと地域に開かれた施設として活用したいというご相談をいただきました。
相談主はもともと近隣の別の場所に活動拠点を持っていましたが、移転する必要が生じたことから、近くにある空き家を新しい拠点として利用できないか、というところから計画が始まりました。
現地を確認すると、建物自体は残っているものの、内装を中心に仕上げが傷んでいる部分が多く、そのまま利用することは難しい状態でした。
一方で、ご要望は大掛かりな改修工事を行うことではありませんでした。
これまでの拠点に通っていた地域の学生たちとも連携しながら、できる部分は自分たちの手でつくる。DIYを前提とした空き家リノベーションとして計画を進めることになりました。
02|既存建物を図面化し、必要な部分だけを更新する
まず行ったのは、既存建物の状況確認と図面化です。
どこを残すことができ、どこに手を加える必要があるのか。既存の状態を整理したうえで協議を重ね、今回は建物全体を大きくつくり変えるのではなく、傷んだ仕上げを中心に部分的に更新する「表層替え」を基本方針としました。
DIYで施工するため、設計では完成形を考えるだけでは十分ではありません。
ホームセンターなどで参加者自身が購入できる材料を選び、必要数量を算出し、予算とのバランスを確認する。さらに、現場で実際に施工できる方法を考え、工程やスケジュールも調整していきました。
設計者として図面を描くことと、工事監理者として現場を確認すること。その間を行き来しながら、ときには実際の施工にも参加して計画を進めていきました。
03|既存の痕跡を残しながらDIYする
壁は、既存の壁紙を剥がせる部分まで剥がし、その上から塗装しました。
床についても、既存の畳をすべて撤去して新しい床をつくるのではなく、畳の上から塩ビタイルを施工する方法を採用しました。
畳を撤去すると、撤去作業だけでなく、廃棄物の処分や新しい下地づくりも必要になります。既存のものをできるだけ利用することで、廃棄物を減らし、工程とコストを抑えています。
また、以前が畳敷きの部屋だった痕跡を残すため、畳縁はそのまま残し、その内側だけに塩ビタイルを施工しました。
結果として、一般的な新しい床とは少し違う、以前の空間の記憶を残した不思議な仕上がりになりました。
04|現場で変わっていくことも設計の一部にする
今回のリノベーションは、さまざまな人が参加するDIYによって進めていきました。
そのため、最初に決めた設計をそのまま完成までつくるというよりも、実際に現場で手を動かしながら、「こうした方がいいのではないか」という参加者の意見も取り入れ、設計内容も即興的に変化していきました。
もちろん、構造や安全性に関わる部分を現場判断で変更することはできません。
一方で、塗装や床などの仕上げについては、建物の構造に影響しない範囲を整理したうえで、参加者の意見を取り入れながら進めることができます。
設計者がすべてを決めるのではなく、どこまで自由に変えてよいのかを整理し、使う人たちが参加できる余白をつくる。
今回のようなDIYを主体としたリノベーションには、その進め方が合っていると感じました。
相談主の「昔のしっくいが残っているので、ここの壁を塗ってみる」という自発的な言葉が印象的でした。DIYをしていくことで、自分達で出来ること認識し、それが次の空間の更新へとつながっていきます。
05|フルマチオープンデイ|地域に開きながら更新していく
改修後はアトリエとして利用するだけでなく、地域に開かれた場所として「フルマチオープンデイ」を開催しています。
フルマチオープンデイでは、柏原市古町にあるそれぞれの活動拠点を同時にまちへ開きます。普段はそれぞれの場所で行われている活動を地域に開き、拠点から拠点へ歩いて巡ってもらうことで、建物だけではなく、古町という地域そのものを楽しんでもらう取り組みです。
ここで興味深いのは、リノベーション工事が終わった時点を「完成」としていないことです。
フルマチオープンデイで実際に場所を使い、人を迎えてみる。そのなかで必要になった建具を塗装したり、新しいDIYを考えたりと、使いながら少しずつ場所を更新しています。
私たちも設計をして終わるのではなく、フルマチオープンデイには実際に運営者として参加しています。
人が集まることで新しい使い方が生まれ、必要なものが見えてくる。それを次のDIYにつなげていく。
今回の相談では、空き家をどのように改修するかだけではなく、「地域に開きながら、使う人たちと更新し続ける場所をどうつくり、どう運営していくか」までを設計の対象として考えました。
空き家のリノベーションには、きれいに改修して完成させる方法だけではありません。
既存のものをできるだけ残し、コストを抑えながら自分たちで手を加え、使いながら少しずつ場所を育てていく。
今回の柏原市での取り組みは、建物をつくることと、その後の使い方や地域との関係をつくることを連続して考える、空き家活用のひとつの形になりました。
施設|ノーウェア柏原・フルマチオープンデイ
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