





今日は京都芸術デザイン専門学校(KID)の非常勤講師の日でした。
前期の集大成となる住宅設計課題の講評会。非常勤講師として通い始めて3年目になりますが、前期の住宅課題を担当するのは今年が初めてです。
授業では、「自分がどんな設計をしたのか、そのコンセプトをしっかり打ち出すことが大切」と伝え続けてきました。
住宅設計では、ただ図面を描くだけではなく、「なぜこの形になったのか」「どんな暮らしを想定しているのか」を自分の言葉で説明することが重要です。
講評では、一人ひとり差はあるものの、全員が初めての住宅プレゼンテーションを最後までやり切っていました。
最初の住宅課題ということもあり、学生らしい自由な発想が多く見られることが、この課題の面白いところです。
親友と二人で暮らすシェアハウスの提案や、自分が育った実家で感じていた不満を改善し、自分の子どもに誇れる家をつくる提案。母、自分、妹が同じ敷地内にそれぞれの家を建て、適度な距離感を保ちながら暮らす提案など、学生たちが考える「理想の暮らし方」は本当に多様です。
一方で、住宅設計には自由な発想だけではなく、設計者として身につけるべき基本的な考え方があります。
敷地に対して建物をどのように配置するのか。周辺環境をどのように読み取るのか。方位を考慮した間取りや、光や風を取り込むための窓の開け方など、住宅を設計する上で大切な視点についても伝えています。
KIDでは模型を作り込む文化があり、最初の設計課題から力の入った模型が並びます。
中には「構造的に大丈夫かな?」と思うものは模型でも少し傾いているものもありますが、それも設計を学ぶ上では大切な経験です。
図面だけでは気付けないことを、自分の手を動かして模型をつくることで理解できることがあります。試行錯誤を繰り返しながら、自分の考えを形にしていく過程そのものが建築を学ぶ大切な時間だと思います。
前期だけでも、コンセプトワーク、図面作成、SketchUpによる3Dモデルの作成やパースの切り出し、Illustratorによるプレゼン資料の作成まで、学生たちはものすごいスピードでスキルを身につけていきます。
学生が最も成長するタイミングで建築教育に関われることに責任を感じながら、建築の楽しさや、社会に羽ばたくために必要な技術や考え方を少しでも伝えられればと思っています。
また、住宅課題を通して学生たちが考える「暮らし方」に触れることは、私自身の設計活動にも大きな刺激になります。
時代とともに家族の形や暮らし方は変化しています。学生たちの自由な発想から、これからの住まいや住宅設計に求められる新しい価値観を知ることができます。
住宅設計は、単に間取りをつくる仕事ではなく、その人らしい暮らしを考え、形にする仕事です。
学生たちから学んだ視点は、これからの住宅設計やリノベーションの実務にも活かしていきたいと思います。
最後の講評では、これから始まる夏休みに向けて、自由な発想やコンセプトをさらに強固なものにするために、たくさんの建築を見ること、そして先人の建築家が残してきた建築や文章を積極的に参照することを伝えました。
建築は、頭の中だけで考えていてもなかなか深まりません。実際に建築を訪れ、空間を体験し、建築家の考えや設計思想に触れることで、自分自身の設計の引き出しが増えていきます。
学生たちがこれから多くの建築に触れ、自分なりの考え方を育てていってくれることを期待しています。
「教えることは教わること」
非常勤講師を続けていると、この言葉を実感する場面が多くあります。
講評で学生に伝えたことが、自分自身の設計活動でも本当にできているのか。自分の言葉がブーメランとして返ってこないように、私自身も日々の設計に向き合っていきたいと思います。
いつか学生たちが成長した時に、少しでも「あの時学んだことが設計に活きている」と思ってもらえるような建築をつくれるよう、これからも建築と向き合い続けたいと思います。
