若狭三方縄文博物館|横内敏人|地面に潜り、縄文の世界をめぐる建築








藤井寺市で設計事務所をしているHTAです。
福井旅行の建築探訪。
今回は、横内敏人設計の「若狭三方縄文博物館」を訪れました。
1.地面から突き出すRCシャフト
この建築でまず目を引くのが、杉板型枠の表情を残したRCシャフトです。
建築の大部分は地面に覆われ、その中からRCシャフトがニョキニョキと突き出しています。
このシャフトは外観を特徴づけるだけでなく、そのまま内部空間まで貫かれています。
地面と建築が一体となり、コンクリートの塊だけが地上に現れているような、独特の佇まいです。
2.地面を登り、内部へ降りる
アプローチも特徴的です。
地面と連続するようにつくられた建築の上を登り、そこから神秘的な内部空間へと降りていきます。
一般的な建築のように正面から「入る」というより、一度地面の上へ登り、そこから地中へ「潜っていく」ような感覚。
縄文時代を扱う博物館という用途とも重なり、建築に入っていく行為そのものが、縄文の世界へと近づいていくように感じられます。
3.建築をめぐること自体が展示体験になる
内部は、どこを切り取っても絵になる格好良い空間です。
杉板型枠のコンクリート、光の入り方、天井の高さや通路の幅。その一つひとつが強い空間をつくり、その中に展示物が置かれています。
展示を見るためのニュートラルな箱というより、まず建築そのものに強い存在感があり、その中に展示が組み込まれているような感覚を受けました。
展示を見るために建築の中を歩いているはずが、いつの間にか建築そのものをめぐっている。
建築をめぐる体験自体が、縄文時代の世界を追体験することにつながっているようにも感じられました。
4.年縞博物館との対比
同じ敷地には、内藤廣設計の「福井県年縞博物館」が建っています。
以前の記事では、年縞博物館について、7万年分の年縞を見せるための長い展示空間と建築の関係を中心に紹介しました。
→ 内藤廣設計「福井県年縞博物館」を訪れて|7万年の時間を見せる建築
二つの建築を続けて見ると、その対比がとても面白い。
若狭三方縄文博物館は、登って、降りる垂直方向の移動。
年縞博物館は、長い展示空間を歩いていく水平方向の移動。
縄文博物館は地面に埋まる建築であるのに対し、年縞博物館は地面から浮く建築。
さらに、地面から突き出す力強いRCシャフトと、水平に伸びる建築を支える細いRC柱。
展示と建築の関係も対照的に感じました。
縄文博物館は、建築があって、その中に展示が置かれている。
年縞博物館は、展示があって、その展示方法から建築がつくられている。
同じ博物館でありながら、建築と展示の関係がまったく異なります。
5.同じ敷地だからこそ見えてくるもの
垂直と水平。
埋まる建築と、浮く建築。
突き出すRCシャフトと、支えるRC柱。
建築があっての展示と、展示があっての建築。
同じ敷地に建つ二つの博物館ですが、設計された年代や設計者の思想によって、ここまで異なる建築になることが面白い。
それぞれを単体で見るだけでなく、二つの建築を続けて体験することで、設計者の考え方や建築の特徴が、より鮮明に見えてくるように感じました。
