2026-08-23

松本建築巡り|サードミレニアムゲート・開運堂本店・信毎メディアガーデン

松本市中心部に建つサードミレニアムゲートのコンクリート外観

水平ルーバーと木製窓枠が特徴的な信毎メディアガーデン正面

松本市の街並みに建つ信毎メディアガーデンの全景

深い大庇と櫛引左官仕上げの壁が印象的な開運堂本店の外観

万成石の窓枠と木製看板を受け継ぐ開運堂本店の正面入口

大阪府藤井寺市を拠点に、住宅・店舗・リノベーションなどの設計を行っている一級建築士事務所 谷口弘和設計室|HTAです。

親の旅行に同行させてもらい、日帰りで長野県松本市へ行ってきました。

今回の目的は建築巡りではなく、まちをぶらぶら歩きながら、気になる店をのぞいたり、おいしいものを探したりするという楽しい旅です。

それでも、初めて訪れるまちを歩いていると、どうしても建物に目が向きます。

家族が店を見ているあいだに、私はこっそり気になる建築を探し、外から写真を撮って回りました。

今回は、松本のまち歩きで出会った開運堂本店、信毎メディアガーデン、サードミレニアムゲートの3つの建築を紹介します。

1.親との日帰り旅行で、松本のまちをぶらぶら

松本市の中心部は、松本駅から松本城へ向かう道沿いに店が点在し、少し道を曲がるだけで街の表情が変わります。

歴史を感じる蔵造りの建物、長く使われてきた商店、現代的な建築が同じ街並みの中に並び、歩いているだけでも発見があります。

建築を見ることを目的にした旅ではなかったので、内部をじっくり見学する時間はありませんでした。

けれど、ファサードだけでも、その建物が街に対してどのように開き、周囲の建物とどのような関係をつくろうとしているのかが見えてきます。

2.竹中工務店設計の開運堂本店

最初に目に留まったのが、老舗和菓子店の開運堂本店です。

設計は竹中工務店。松本市中心部の市街地再開発に伴い、歴史ある店舗を建て替えた建築です。

表通りに面する正面と、駅から歩いてきたときに正面となる西南角を大きくセットバックし、その上に深い大庇が架けられています。

大庇の下に生まれた余白は、店のためだけの場所というより、街と店をゆるやかにつなぐ小さな広場のように感じられました。

外壁には櫛引左官仕上げが使われ、細かな水平の陰影が表面に現れています。寒冷地で求められる耐久性に応えながら、松本に残る蔵造りの重厚感を現代的な表情へ置き換えた仕上げです。

正面には、先代・先々代の建物から受け継がれた万成石の窓枠と木製看板も再利用されています。

新しく建て替えながら、以前の建物の記憶を残す。現代的でありながら日本的でもある、切れ味のよいファサードが印象に残りました。

3.伊東豊雄設計の信毎メディアガーデン

続いて見つけたのが、信濃毎日新聞の松本本社である信毎メディアガーデンです。

設計は、長野県下諏訪町で育った建築家・伊東豊雄。2018年に開業した、地下1階・地上5階の複合施設です。

新聞社のオフィスだけでなく、1階から3階にはショップ、飲食店、ホール、スタジオなどが入り、市民や観光客に開かれた場所として計画されています。

外観で目を引くのは、低層部を覆う細かな水平ルーバーと、上層部の木製窓枠です。

金属のルーバーは大きな建物のボリュームを細かく分節し、道路に面したファサードに軽さと透け感を与えています。

一方、上層部には木のフレームが格子状に並びます。新聞社という都市的な建物に、信州らしい温かさと細やかなスケールを加えているように見えました。

街に閉じた本社ビルではなく、表と裏の通りをつなぎ、人が立ち寄り、情報や文化と出会う場所をつくる。その考え方が、開放的な低層部と層状のファサードにも表れています。

4.竹山聖+アモルフ設計のサードミレニアムゲート

松本の街並みの中で、ひときわ強い存在感を放っていたのがサードミレニアムゲートです。

設計は竹山聖+アモルフ。2001年に完成した、店舗と事務所が入る建物です。

細長い敷地に、コンクリートの壁が垂直に立ち上がり、その間にガラスや開口が差し込まれています。

周囲の建物が看板や窓によって賑やかな表情をつくる中、サードミレニアムゲートは壁の量感と深い隙間によってファサードを構成しています。

道路から見上げると、建物全体が一枚の正面として見えるのではなく、複数の壁が少しずつ位置を変えながら重なって見えます。

名称のとおり、街の中に開かれた大きなゲートのようでもあり、その隙間の奥へ視線が引き込まれる建築でした。

5.ファサードだけでも楽しい、初めてのまち

今回は建築巡りを目的にした旅行ではありませんでしたが、だからこそ、まちの中で偶然建築に出会う楽しさがありました。

開運堂本店は、歴史ある街並みと老舗の記憶を受け継ぐファサード。

信毎メディアガーデンは、人や情報を街へ開く、軽やかで層のあるファサード。

サードミレニアムゲートは、コンクリートの壁と隙間によって街に強い輪郭をつくるファサード。

同じ松本市の中心部にありながら、街との関わり方はそれぞれ異なります。

初めて訪れるまちでは、有名な建築の内部まで見学できなくても、歩きながら外観を見て回るだけで十分に楽しめます。

親との日帰り旅行に同行し、店を巡り、おいしいものを探し、その合間にこっそり建築の写真を撮る。肩の力を抜いて街を楽しめた、よい一日になりました。

松本まち歩き|建築情報

開運堂本店
所在地:長野県松本市中央2丁目2-21
設計:竹中工務店
用途:店舗
構造:鉄骨部鉄筋コンクリート造
規模:地下2階、地上4階

信毎メディアガーデン
所在地:長野県松本市中央2丁目20-2
設計:伊東豊雄建築設計事務所
開業:2018年
用途:新聞社オフィス、店舗、コミュニティー施設
規模:地下1階、地上5階

サードミレニアムゲート
所在地:長野県松本市中央2丁目3-13
設計:竹山聖+アモルフ
竣工:2001年
用途:店舗、事務所
構造:鉄筋コンクリート造
規模:地下2階、地上7階、塔屋1階


谷口弘和設計室|HTAは、大阪府藤井寺市を拠点とする一級建築士事務所です。

藤井寺市をはじめ、柏原市・羽曳野市・八尾市・松原市・富田林市など南大阪を中心に、新築住宅の設計、リノベーション、店舗設計などを行っています。

土地探しからの新築住宅はもちろん、変形地や高低差のある土地、狭小地など、条件の難しい土地についても、敷地の特徴を活かした建築をご提案します。

藤井寺市で新築住宅や注文住宅の設計、設計事務所・建築家へのご相談を検討されている方は、お気軽にお問い合わせください。

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記事内の建築情報は、開運堂本店の建築紹介信毎メディアガーデン公式の建築コンセプト、松本市景観賞資料などを確認して構成しています。

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