2026-08-13

福井|木村松本建築設計事務所設計のataWへ|「三奈美と古物」の空間

福井のataW入口|ガラス作家・三奈美と古物の展示

ataW「三奈美と古物」|ガラス作品と古物を並べた展示風景

木村松本建築設計事務所がリノベーション設計した福井ataWの店内

木村松本建築設計事務所設計|福井ataWの外観

藤井寺市で設計事務所をしているHTAです。

福井を訪れた際、以前から気になっていたataW(アタウ)へ行ってきました。

今回のお目当ては、ガラス作家・三奈美さんの作品と古物を組み合わせた展示「三奈美と古物」です。

ガラス作品と古物がつくる、ひとつの風景

展示では、三奈美さんのガラス作品と古物が絶妙なバランスで並べられていました。

特に印象に残ったのは、単純にガラス作品の横に古物を置くのではなく、作家さんの作風に呼応するように古物がセレクトされていたことです。

ガラス作品に合わせられているのは、メラミンやプラスチックなど、素材としてはまったく異なる古物。

それでも、色味や用途、形などに共通する部分があることで、それぞれが別々のものではなく、ひとつのまとまりとして見えてきます。

同じ素材だから合うのではなく、異なる素材を色や形、用途によってつないでいく。

その組み合わせ方がとても面白く、ひとつひとつじっくりと見て回りました。

蚤の市のように、たくさんの中から選ぶ

もうひとつ面白かったのが、展示の見せ方です。

たくさん並んだものの中から、自分の気になるものを探していく感覚があり、蚤の市でたくさんの古物の中から自分の好きなものを見つけるような楽しさがありました。

そう感じた理由のひとつが、白い展示台の高さです。

一般的なショップの什器よりも低く設定されていて、露天の蚤の市で布を敷き、その上に古物を並べているような高さになっています。

少しかがみながら、一つひとつを覗き込むように見ていく。

その身体的な距離感も、蚤の市で古物を探しているように感じた理由なのかもしれません。

作品と古物のセレクトだけでなく、並べ方や高さによっても展示の雰囲気がつくられているのが印象的でした。

私自身も古物店や「みなみの蚤の市」に関わっていることもあり、「どう並べるか」「何と何を組み合わせるか」という部分もとても参考になります。

今回は、私物として使うガラスのスプーンとマドラー、そして出店の際にも使えそうな古物のトレーを購入しました。めちゃかわいいです。

木村松本建築設計事務所によるリノベーション

そして、ataWを訪れたもうひとつの楽しみが建物でした。

施設のリノベーション設計は、木村松本建築設計事務所さんによるものです。

木村松本建築設計事務所さんの作品は、これまで雑誌などでたくさん拝見していたのですが、じっくりと中に入って空間を体験したのは今回が初めて。

実際に見ることができて、とても嬉しかったです。

建物を見ていて特に感じたのが、「見たことのある素材が、見たことのない使われ方をしている」ということ。

素材そのものが特別なのではなく、普段から目にするようなものでも、使う場所や納まり、組み合わせ方が変わることで、まったく違った見え方をしています。

設計者としては、こういう空間を見るのがとても楽しいです。

「この素材を、ここにこう使うのか」と考えながら一つひとつ見ていると、めちゃくちゃ勉強になります。

ひとつひとつの「当たり前」を疑う

建築を続けていると、知らず知らずのうちに、

「この材料はこう使うもの」

「ここはこう納めるもの」

という、自分なりの当たり前ができてきます。

もちろん経験によって身についた知識は大切ですが、その当たり前が、新しい発想を邪魔してしまうこともあるのだと思います。

ataWの空間を見ながら、ひとつひとつの「当たり前」を疑わないといけないなと、少し背筋が伸びるような気持ちになりました。

そして、それは今回の「三奈美と古物」の展示にも共通しているように思います。

ガラスとメラミンやプラスチック。

新しいものと古いもの。

作家さんの作品と、誰かが使っていたもの。

カテゴリーや素材が違っていても、見方を変えて関係性を見つけることで、ひとつの風景として成立していました。

作家と古物、それを受け止める建築

作家さんと古物のコラボレーション。

そして、それを受け止め、可能にする器としての建築。

今回は、その両方を同時に見ることができたのが、とても良かったです。

作品と古物の関係を見る。その並べ方を見る。そして、それらを受け止める空間や素材、納まりを見る。

展示と建築の間を行き来しながら見ることで、それぞれを単独で見るのとはまた違った面白さがありました。

建築でも古物でも、既にあるものを「こういうもの」と決めつけず、少し見方を変えることで、新しい関係や価値をつくることができる。

作家さんと古物のコラボ、それを可能にする器としての建築のあり方。

その両方を見ることができた、とても充実した一日でした。

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